バイク便と自転車便がわかる「メッセンジャー」

バブル期に一世を風靡したホイチョイ・プロダクションズ。その名前を知らなくても「私をスキーに連れてって」や「彼女が水着に着替えたら」などの映画はご存知でしょう。バブル時代を彩ったホイチョイ・プロダクションズがバブル崩壊後に作った映画が「メッセンジャー」です。自転車便とバイク便の対決を描いたこの作品はSMAPの草彅剛が出演したことでも話題となりました。

ストーリー(ネタバレ)

プロローグ

主人公の清水尚実は、芝浦に本社を置く総合商社安宅物産繊維部に勤める愛人の岡野のコネで、同社が日本で取り扱うイタリアの高級アパレルブランド「エリンコ・ダンドロ」のハウスプレス(広報)として働くキャリアウーマン気取りの女性です。高級マンションと高級外車、それにクレジットカードまでもが安宅物産から支給されるという好待遇で、会社の金で岡野と二人バブル時代のようなセレブな生活を送っていました。しかし、秋冬物の新作発表会を控えたある日、イタリアのエリンコ本社が倒産したという知らせが尚実の元に届きます。審査部の太田は岡野に対してアメリカのファッションデザイナーであるティム・グレイを引き抜くように命じ、岡野はそのままニューヨークへと高飛びします。一方太田はエリンコ倒産に伴う自社の資産保全に乗り出します。何が起きたのか理解できないまま帰宅した尚実は、自宅マンションで差押えが行われているのを目撃してしまいます。隙を突いて自分の車で逃走しますが、よそ見運転をしている隙に猛スピードで走っていた自転車便「東京エクスプレス」の横田と衝突する交通事故を起こしてしまいます。横田は尚実に配達途中だった書類を、目の前にあるシティバンクへ届けてほしいと頼まれます。尚実は轢いてしまった負い目から、シティバンクへと向かいますが、そこで太田に遭遇し財布の中身を没収されてしまいます。さらに事故現場に戻った尚実を、定年退職間際の警官・島野が待ち受けており、ひき逃げの現行犯として逮捕されてしまうのです。事故の直前に任意保険が解約されて賠償金が用意できない尚実は、骨折で入院した横田の示談条件として、退院するまで代わりに自転車便をやって欲しいと懇願されます。傲慢な性格の尚実はそれを拒否し、一晩勾留されることに。さすがにまずいと思った尚実は、示談を渋々受け入れるのでした。

自転車便の世界へ

翌朝、横田の同僚の鈴木のレクチャーを受け、尚実は経験したことのない肉体労働を伴うメッセンジャーの世界へと入って行きます。プレスの仕事とは違い、自身の体で稼ぐメッセンジャーの仕事が尚実に合うはずもなく、鈴木との相性も最悪の状態でした。しかし、横田と別れて田舎へ帰ろうとする恋人の由美子に、横田から預かった携帯電話を届けて感謝されたことで、尚実の気持ちに変化が訪れるのでした。あくる日、尚実の発想で安宅物産に営業を掛けようということになり、鈴木と尚実は太田を訪ねていきますが、彼は大手町のシティバンクに居ると言います。太田の同僚は、その場にいたバイク便「セルート」に配達を頼みますが、尚実が咄嗟の判断でバイク便よりも早く届いたら今後配達を任せてもらえるかと電話越しに提案。バイク便と自転車便とのガチンコ対決が繰り広げられます。結果は、鈴木の見事な走りと自転車のフットワークの軽さが幸いし、東京エクスプレスが勝利。安宅物産は東京エクスプレスの大口得意先となったのです。

尚実の決断

大口の取引先を手に入れ、業務が増えた東京エクスプレス。鈴木との勝負に負け、バイク便を首になった服部や、警察を定年退職した島野、それに由美子も仲間に加わり、東京エクスプレスは活気を取り戻していきます。そんな中、デザイナーのティム・グレイとの契約を纏めていた岡野から、尚実に連絡が入ります。ティム・グレイはかつて自分にビンタをかました尚実のことを気に入っており、契約するならぜひ尚実をプレスにしてほしいと要請してきたというのです。尚実自身はメッセンジャーの仕事にやりがいを感じ始めており、鈴木にも気持ちが揺れているところだったのですが、横田の怪我が治ったこともあり、彼女はプレスの仕事に戻ることを決断するのでした。

再び対決

尚実が東京エクスプレスを去ったころ、勝負に負けて大口の取引先を奪われ、逆恨みしたセルートが、東京エクスプレスを潰しに掛かろうと再び勝負を持ちかけてきます。東京エクスプレスのメンバーは作戦を練り、それに対抗しますが、セルートはスピード違反や危険な妨害行為など、法を犯してまでも勝負に勝とうと卑怯な手を使ってきます。その熾烈なバトルを偶々安宅物産へ向かうタクシーの車中で目撃した尚実。セルートの汚い手に苦戦を強いられていた東京エクスプレスのメンバーを見捨てられない尚実は、プレスの仕事を捨てて自転車へと跨ります。尚実のお陰で勝負は再び東京エクスプレスの勝利。安宅物産の仕事を独占し、尚実と鈴木の恋も成就するのでした。

キャスト

  • 清水尚実・・・飯島直子
  • 鈴木宏法・・・草彅剛(SMAP)
  • 横田重一・・・矢部浩之(ナインティナイン)
  • 阿部由美子・・・京野ことみ
  • 服部宣之・・・青木伸輔
  • 細川孝之・・・京晋佑
  • 太田量久・・・小木茂光
  • 前川万美子・・・伊藤裕子
  • 岡野博・・・別所哲也
  • 島野真・・・加山雄三

スタッフ

  • 原作・・・ホイチョイ・プロダクション
  • 監督・・・馬場康夫
  • 脚本・・・戸田山雅司
  • 製作者・・・村上光一、中村滋、石崎邦彦
  • プロデュース・・・小牧次郎、石原隆、倉持太一、河井真也、増田久雄
  • スタントコーディネイター・・・山田一善、宮崎剛
  • バイクスタント・・・有薗啓剛
  • ボディスタント・・・ジャパンアクションクラブ
  • カースタント・・・武士レーシング
  • 現像・・・IMAGICA
  • スタジオ・・・日活撮影所
  • 製作協力・・・プルミエ・インターナショナル
  • 製作・・・フジテレビジョン、小学館、ポニーキャニオン

感想

気分爽快、最高にスカッとさせてくれる気持ちの良い映画です。ストーリーはなんてことはない、ありきたりな展開なのですが、テンポよく進む物語と、無駄のない配役が観ていて心地よい作品でした。飯島直子演じる尚実は、ダメな女ですがどこか憎めないかわいらしさがあり、彼女ががんばることで周りを変えていき、自分自身も成長していく姿には勇気を貰いました。スカートをビリッと破いて自転車に跨るところは思わず拍手したくなる位でした。草彅剛演じる鈴木のかっこよさは群を抜いていて、大都会を自転車で颯爽と走る姿や、技を駆使してバイク便を追い越すシーン、「楽勝!」といたずらっ子のような自信満々の顔でいうシーンなどは気分が盛り上がりました。また京野ことみの由美子や、加山雄三演じる元警官の島野など、脇を固める役者陣も素晴らしく、とにかく見ていて楽しかったです。とんとん拍子で大口の契約が取れ、仲間が増え、映画自体も盛り上がっていくという展開は爽快感があり、見終わったあとは心から「面白かった!」と言える映画だと思います。自転車vsバイクのレースも迫力があって見応え満点です。エンディングのラップは見ているこちらが恥ずかしくなるような出来ですが、それも含めて時代を感じさせるいい映画だと思います。