本場NYのメッセンジャーがわかる「プレミアム・ラッシュ」

メッセンジャーの本場と言えばやはりアメリカ・ニューヨークですね。実際、ニューヨークには4000人以上のメッセンジャーがいるのだそうです。車の間を縫って駆け抜けるピストバイクはノーブレーキの競技仕様。日本では違法になりますが、アメリカではOKなんですね。そんなニューヨークのメッセンジャー事情が分かる映画がこの「プレミアム・ラッシュ」です。日本ではノーブレーキピストが問題になっていることや、道交法違反も厭わない主人公たちの姿が問題となり劇場公開されませんでしたが、大都会を所狭しと駆け巡るメッセンジャーが爽快でカッコいい映画です。

映画「プレミアム・ラッシュ」について

「プレミアム・ラッシュ」は、2012年にアメリカ合衆国で公開されたアクションスリラー映画です。作品自体は2010年にニューヨークで撮影されたのですが、完成してしばらくたった2012年にアメリカ合衆国で劇場公開されました。主演は「インセプション」「ダークナイトライジング」「ルーパー」「リンカーン」と話題作に次々出演しているジョセフ・ゴードン=レヴィットです。ニューヨークでメッセンジャーをする主人公が、一通の封筒を届けるという依頼を受けたことから事件に巻き込まれていくというストーリーになっています。日本では劇場公開されずビデオスルーされました。ですが後に、辻岡朔実やわたなべりんたろうを始めとする有志による署名活動をした結果、2013年11月2日~8日に新宿シネマカリテにてDVD画質での劇場公開が実現しました。

ストーリー(ネタバレ)

ニューヨークでメッセンジャーをしているワイリーは、持ち前の自転車テクニックを駆使し、日々の仕事をこなしていました。彼のテクニックは一流で、仲間からの信頼も厚い青年でした。ある日、彼はガールフレンドのルームメイトの中国人女性ニマから一通の封筒を届けてほしいと依頼されます。彼女のただならぬ雰囲気を怪しむワイリーでしたが、彼の予感は的中してしまいます。配達へ出発したワイリーの目の前にマンデーと名乗る刑事が現れ、封筒を渡せと迫ってきたのです。これを拒否すると、マンデーはワイリーを銃で脅してきます。ワイリーは得意の自転車テクニックでその場から逃げ出しますが、封筒を狙うマンデーや、その背後にうごめく組織の黒い影に追われることになるのです。彼らの執拗な追跡は、ワイリーの仲間の命までも脅かすものへと発展していきます。封筒の中身は一体何なのか・・・。実はニマは中国からの留学生で、祖国に子供を残してきており、自身の学生ビザでアメリカに呼び寄せようとしたのですが、彼女がチベット問題に触れる論文を書いていたことから許可が下りず、大金を貯めて不法移入させようと裏組織にチケットを運んでもらおうとしていたのでした。封筒を追うマンデーは、ギャンブル狂で借金まみれのため、大金の価値のあるニマのチケットを奪おうとしていたのです。ニューヨークの町で生身のメッセンジャーたちが繰り広げるチェイスの末、とうとうワイリーも事故に遭ってしまい・・・。

キャスト

  • ワイリー・・・ジョゼフ・ゴードン=レヴィット
  • ボビー・マンデー・・・マイケル・シャノン
  • ヴァネッサ・・・ダニア・ラミレス
  • ニマ・・・ジェイミー・チャン
  • マニー・・・ウォエ・パークス

スタッフ

  • 監督・・・デヴィッド・コープ
  • 脚本・・・デヴィッド・コープ、ジョン・カンプス
  • 製作・・・ギャヴィン・ポローン
  • 製作総指揮・・・マリ・ジョー・ウィンクラー=イオフレダ
  • 音楽・・・デヴィッド・サーディ
  • 撮影・・・ミッチェル・アムンドセン
  • 編集・・・デレク・アンブロシ、ジル・セイヴィッド
  • 配給・・・コロンビア映画

感想

この映画の予告編を見たとき、なぜこんなに面白そうな映画が日本では公開されないのだろうと不思議に思いました。主演は日本でもメジャーな映画に次々出演しているジョゼフ・ゴードン=レヴィットですし、カーチェイスものの映画はあれど自転車チェイスものというのは斬新なアイデアです。しかし、実際にDVDを借りて作品を見てみたところ、これは日本で公開したら大問題になるかもしれないなーと納得しました。まず、主人公のワイリーがのる自転車がノーブレーキピストであるということ。日本では公道を走ることが禁止されていて、東京都では販売することも禁止されたほど問題になっています。ニューヨークは日本と違って道路の幅も広く、万が一の時に逃げられるスペースもある、一方通行が多い、トラフィックに余裕があるなど交通事情が違いますし、そもそも違法ではありません。日本で同じことをすると非常に危険なので、この映画を見て「カッコいい!乗ってみたい」と思っても出来ません。また、映画の中でメッセンジャーたちは信号無視は当たり前、車と車の間や障害物をスレスレのところでよけて行き、時には走行中の車に掴まってスピードを出したりと、さすがにニューヨークでも違反と思われることを平気でやります。自転車チェイスというとどうも迫力がなさそうに聞こえますが、この違法行為も厭わないギリギリのチェイスは手に汗握る迫力があります。自転車乗りでなくとも彼らの見事な自転車捌きには感激すること間違いなしです。ストーリーは単純で、自転車版「トランスポーター」といった感じです。謎解き部分も割と早い段階で分かってしまいますし、主人公とヒロインの恋愛パートもあっさりしています。しかし、とにかく自転車がカッコよくて見応えがあります。見せ方が上手で、走っている自転車からの目線にスローモーションや早回しを駆使して飽きない演出になっています。俳優自身が自転車を漕いでいるシーンも多く、ゴードン=レヴィットは実際撮影中に事故に遭い31針縫う大けがを負ったそうです。エンドロールではその時の様子が流れ、「よいこはまねしないでね」という趣旨のことが視聴者に伝えられます。考えてみれば自転車でのチェイスというのは硬い車に守られているカーチェイスと違って生身の人間同士の戦いということですから、より危険なのかもしれませんね。真似したくても出来ないようなドライビングテクニックでしたが、自転車通勤(ママチャリです)している私は、明日からの通勤に少なからず影響を受けそうな気がします。